2024年6月17日

ガザモノローグ
かずさ 2024.06.18
誰でも

昼過ぎ、自転車で〇〇駅まで行き、駐輪所に自転車を止めてJRに乗る。数日ぶりの横浜へ。横浜での用事は4つ。①BankartKAIKOでグッズのピックアップ②薬局で先日数量が足らず受け取れなかった残りのタンドスピロンを受け取る③黄金町の事務局で書類にサインをして5月の家賃を支払う④STスポットでガザモノローグ鑑賞

KAIKOでの約束の時間は三時だったけど一時には到着してしまい、コレットマーレ5階の有隣堂で本を買った。文藝7月号と乗代雄介「最高の任務」本を図書館で借りる生活に移行したいのに物欲に負けてつい買ってしまう。一度読めばしばらくは読み返さないのに、所有していたくなる力が「書籍」にはあると思う。テキストの内容、本のデザイン(装丁やサイズも含む)、手触り香り質感、その全てが物としての存在感を持っているオブジェクトの魅力。うちの父は定年退職するまで印刷工場で働いていて、小さい頃父が貰ってきた無料券で父と兄と3人で見に行った印刷博覧会で見た印刷機の記憶が鮮明にあること、物心ついた時から父が会社から持ち帰ってくる「紙の束」が嬉しかったこと、そういう幼少期の経験がわたしのフェチズムに繋がっているのか、とにかく印刷物、紙の束が好きである。そういったことがあり電子書籍には興味がなかったのだけれど、最近「ハンチバック」を読んだことからグッと書籍の電子化の重要性を感じている。「ハンチバック」では紙の本は問題なく体を動かせる健常者と障害者が平等に読める物ではない、というメッセージを痛烈に受け取った。今まで自分には、電子書籍とは重たい本、場所をとる本を電子化することで便利になる、というくらいの認識しかなかったが、完全に健常者目線でしか物事を見ていなかった。電子化することで体を動かして本を読めない人も読みやすくなり、目の不自由な人もデータを音声化して聴くことができる、そういうことだったのかと理解した。しかし、わたしのようなフェチズムのために、紙の本はきっとなくならないだろうが、電子化も並行して行われていくことは大切だなと思っている。

その後KAIKOでグッズを引き取る。手ぬぐいが残2、ポストカードは1種は完売、1種は残7、ありがたい売れ行きだった。

その後黄金町に向かう。2019年5月10日〜2024年6月12日まで暮らしたスタジオ兼住居の様子を見ると、既に知らないアーティストの作品が展示されていて、寂しい気持ちになる。世の中はわたしのペースとは全く関係なく流れゆく。寂しいけれどわたしも新しい場所で頑張って生きていかなければ。引っ越しをしてこの1週間は引っ越しに伴うあれやこれやの手続きを忙しなくしている間に過ぎ去り、創作らしいことは何もしていない。本を読み映画を見て日記を書く、食べて運動をして寝る、その繰り返し。一歩外に出てももう知り合いもいないので、まずは街に出て人と出会うことから始める必要があるのだろうけれど、今のところ引きこもっている。自転車を手に入れたことは良かったけれど、自転車のスピードで街を移動していては人と出会うことはない。もちろん自転車を止めて、カフェに行くなり本屋に行くなり劇場に行くなりすればいいのだけれど、なんとなく気力が湧かず、まだ街に馴染むことができていない。そうこうしている間に梅雨になってますます引きこもってしまう予感さえする。事務所では久しぶりに事務局の皆さんと話ができてホッとするひととき。引越してもここにくれば知っている人がいるという安心感はとてもありがたい。

夜、横浜駅に移動しSTスポットで「ガザモノローグ」観劇。今、各地で行われている朗読劇で、2023年にガザの人々によって書かれたテキストが朗読される。STスポットではオフィスマウンテンの飯塚大周さんの企画で飯塚さんら二人が朗読をした。センシティブな題材なだけに、その前後のアナウンスの言葉一つ一つにも気を使って話されている印象を受けた。アフタートークで気になったのは、飯塚さんが「普段の芝居では抑えてやっている」と言っていたこと。言い回しは正確ではないかも知れないけれど、そのようなことを言っていた。わたしの印象としては、オフィスマウンテンで見る飯塚さんの芝居は身体も声も大きく使っているし、抑えている印象がない。主催の山懸さんのポップさとファニーさからすると抑えている感じはあるかも知れないけれど、それは比べる物でもない。山縣さんは確かに、全力でやろうという感じの印象がある。書いたテキストを全力でやる故のポップさというか、それは「演じている」感じがわたしには見ていて感じられる。飯塚さんがいったい何を抑えているのか、そしてなぜ抑えているのかが気になったが、本編とあまり関係のない質問になってしまうと思い控えたが、今度聞いて見たい。

・・・アフタートークで教わったパレスチナへのワンクリック募金はこちらhttps://arab.org/click-to-help/
ただクリックするだけで一人一人の小さい(と思われている)力が大きなパワーになる、これは毎日やろうと思った。

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